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【くわしい仕事内容】地域包括支援センターで働く保健師の実際は?

看護師もしくは保健師の資格が活かせる「地域包括支援センターの看護師・保健師」について紹介します!

地域包括支援センターとは、地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行い、高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とし、地域包括ケア実現に向けた中核的な機関。

地域包括支援センターに従事するためには要件があります。

基本的に地域包括支援センターには「包括的支援事業を適切に実施するため、原則として①保健師②社会福祉士③主任介護支援専門員を置くこととする(施行規則第 140 条の66 第 1 号イ)」と定められています。

しかし、三職種の確保が困難である場合には、要件を満たした者(保健師に準ずる者)も従事することが可能です。

「保健師に準ずる者」の定義がこちら

保健師に準ずる者として、地域ケア、地域保健等に関する経験のある看護師。なお、この経験のある看護師には准看護師は含まないものとする。平成 31 年度より、上記に加え、高齢者に関する公衆衛生業務経験を 1 年以上有するものとする。(平成30年5月10日「地域包括支援センターの設置運営について」の一部改正について/厚生労働省より)

つまり、“地域ケア、地域保健等に関する経験および高齢者に関する公衆衛生業務経験を1年以上経験した看護師”が要件となります。

「地域ケア、地域保健等に関する経験」「高齢者に関する公衆衛生業務経験」とは?

地域で暮らす住民の生活習慣における課題を把握し、健康維持・増進、感染症や生活習慣病、がんなどの予防や検査、健康づくりや介護予防などの指導や相談経験のこと。

以下のような場所で経験を積むことができます。

・保健所や保健センター

・医療機関の地域連携室

・訪問看護

・通所介護等の在宅サービス事業所

・地域包括支援センター

・健診(検診)や一般企業等での保健指導 など

目次

おしごと内容

  • 包括的支援事業
  • 多職種協働による地域包括支援ネットワークの構築
  • 地域ケア会議の実施
  • 指定介護予防支援

包括支援事業とは

  • 総合相談支援業務
  • 権利擁護業務
  • 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
  • 在宅医療・介護連携推進事業
  • 生活支援体制整備事業
  • 認知症総合支援事業

①包括支援事業

地域の高齢者やその家族からの相談を受けて、その人のニーズに合った保健・医療・福祉サービスを提案・提供します。また必要に応じて適切な機関につなぐ役割もあります。

たとえば、介護保険の申請に関する相談や、介護サービスの利用認知症に関する相談など・・・時には医療機関、警察署、消防署などと連携することもあります。

地域では問題が解決できない、適切なサービスにつなげる方法がない等の困難な状況にある高齢者に対して、安心できて尊厳のある生活を行うことができるよう支援します。

たとえば、認知症により、ひとりでの生活が困難な方に対して成年後見の申し立てを行ったり、老人福祉施設等への入所を支援したり、高齢者虐待への対応を行ったりします。

多職種協働による地域包括支援ネットワークの構築

地域の関係機関(医療機関や居宅介護支援事業所など)や民生委員、老人福祉員、自治会長、警察署、消防署などと連携し、地域のネットワーク(連携・協働の体制)を構築します。

③地域ケア会議の実施

地域の介護等の専門職や民生委員、老人福祉員、自治会長などと協働し、介護支援専門員のケアマネジメント支援を通じて、支援が困難な高齢者に対する情報共有や支援方法を検討し、地域課題の解決に向けて話し合います。

地域包括支援センターが主になって、会議をセッティングし進行を行います。

④指定介護予防支援

介護保険のサービスが必要な方に対して、サービスを利用・継続できるよう、介護予防サービス計画を作成し、サービス事業所と連絡調整を行います。

サービスにつながれば、定期的にモニタリングを行い、サービスの内容、頻度などが適切かアセスメントを行います。

勤務時間・休み

休日

設置主体は市町村ですが、人口が多い市では運営を社会福祉法人などに委託しています。

基本的には行政と同じで土日祝日が休みというところが多いようですが、委託されている場合は委託先の法人が定める休みになります。

私が働いていた包括は、社会福祉法人に委託されて実施している包括で、法人の規定が「1か月で8日間の公休」だったので、カレンダー通りの休みではありませんでした。

これはリサーチ不足でした(笑)みなさんは、事前に確認しておいた方がよいですよ!!

勤務時間

市が運営しているなら公務員なので、公務員の勤務時間と同じ。ですが、委託されているなら、法人によって違います!

私は9時~18時勤務で、残業はほぼありませんでした

ただ残業している人もいたので、受け持っているケースによっては忙しい時期があるかもしれませんね。

また、私の働いていた包括は24時間体制をとっていたので、交代で毎日社用携帯を持って帰り、電話が来たら社用携帯に転送され、当番の人は対応しなければなりませんでした(;´・ω・)

そんなに電話は鳴りませんが、帰宅後や土日も携帯を気にしなければならないのは大変でした。

包括を選ぶ時の基準の一つにしてもよいですね!

年次休暇

これも勤務時間同様、委託なら、法人によって違います!

私は、1年目は10日間の付与、2年目は11日間の付与・・・というように、毎年1日ずつ増えていく制度でした。

20日間もらうには、10年働かないといけなかった(笑)

これもリサーチ不足でした( ;∀;)みなさんは気を付けてくださいね・・・

給料・年収

地域包括支援センターの平均年収は、およそ400万円~500万円と言われています。

私は1年半しか働いていないので、1年目の給料しかわかりませんが、月収はおよそ25万円手取りで19万円ほどでした。年収はおよそ360万円です。

手取り20万切るのはつらかったです。以前は看護師をしていたので、給料はかなり下がってしまいました。

でも残業がほとんどなくなったので、ワークライフバランスはしっかりとれていました♪

給料も法人によって違います。手当のあるなしによっても変わってきますし、基本給もしっかり確認しましょう!

連携・関係する職種

  • 地域包括支援センターの主任介護支援専門員や社会福祉士
  • 居宅介護支援事業所のケアマネージャー
  • 介護サービス事業所のスタッフ(介護士や看護師など)
  • 行政保健師
  • 医療機関の医師や相談員
  • 福祉用具事業所の専門相談員
  • 警察署
  • 消防署       など

1日のスケジュール

とある1日のスケジュールです。

午前

モニタリング訪問

継続的に介護保険サービスを利用している方には、1か月に1回電話3か月に1回訪問でモニタリングを行います。

サービスの内容や頻度が適切か生活状況の確認健康状態困っていることはないかなど、いろんなことを聞いて、アセスメントします。

午後

サービス事業所と連絡調整

サービスを開始する方がいれば、事業所に連絡して情報提供し、空きがあるか、担当していただけるかを確認します。

サービス担当者会議

サービスを開始するときは、本人の自宅にサービス事業所の責任者と包括の担当者がお伺いし、会議を開きます。

会議といっても、ケアプランに沿って本人の目標と、利用するサービスの内容・頻度などを全員で共有・確認し、このケアプランで進めていきますよ、という同意を得る場です。

新規相談の訪問

新規で相談があったときは、まず電話でだいたいの相談内容を確認して、訪問する日程を調整します。

初回の訪問では、家族構成生活状況環境これまでの暮らしどんな生活がしたいのか今困っていることなどを確認。

その方の背景やニーズに合った制度・資源を提案し、支援を開始します。

合間で記録をしたり、ケアプランを作成したり、地域ケア会議の準備をしたり・・・事務仕事も結構多いので、訪問以外の時間は基本座って仕事をします。

必要な資格・スキル

  • 保健師もしくは看護師の免許
  • 傾聴する力
  • 観察力
  • 危機管理能力
  • コミュニケーション能力

身につくスキル

  • 問題解決能力
  • 忍耐力
  • 観察力
  • 介護保険制度の知識
  • 多機関と連携・協働する力

どうしたらなれるか

  • 保健師の資格を取得する。
  • 看護師の資格を取得し、地域ケア、地域保健等に関する経験および高齢者に関する公衆衛生業務経験を1年以上経験する。

資格さえ取得し、経験をつめば、あとは自分が携わりたい地域の地域包括支援センターを探して就活する!

地域で選んでもよいし、委託されている自治体なら、委託先の法人を比較して、働き方や給与などで決めてもよいですね!(^^)!

向いている人

  • 高齢者分野に興味がある人
  • 人の役に立ちたい人
  • 地域と関わりたい人
  • 思いやりがある人

この仕事を選んだ理由・きっかけ

私は以前、病棟看護師をしていました。

入退院が激しく、業務に追われる毎日でしたが、ある時、退院に向けた初の取り組みを行うことになりました。それは、心不全の患者さんが、24時間の持続点滴をつけたまま退院し、在宅にもどるという支援です。

退院前カンファレンスでは、地域の医者、ケアマネ、作業療法士など、さまざまな職種が集まり、退院後の生活について話し合いました。

お風呂に入るときはどうするか、どれくらい足を上げられるか、どんな福祉用具が必要か・・・

私は、患者は退院することがゴールだと思っていました。でも違いました。

住み慣れた家に帰って、これまで通りの生活ができることが、患者さんの目標だったのです。

それを支援するために、この人に必要なサービスは何か、みんなで話し合いました。

病気を抱えていても、自分の好きな場所で、これまで通り自分らしく生活できる。

そんな支援をしたいと思い、地域包括支援センターに就職することを決めました。

やりがい・楽しさ

私はこれまで、病棟看護師も行政保健師も経験しましたが、地域包括支援センターでの仕事が一番やりがいがあって、楽しかったなと思います。

自宅に訪問して、その方のこれまでの人生をお伺いするのが、すごく好きでした。いろんな経験をされて、今ここにいらっしゃる。

それを聞くと、何とかここで、これからも過ごしていけるよう、お手伝いしたいなって思いました。

地域包括支援センターは、要介護にならないようにするための支援を行うことができます。

デイサービスで運動して、福祉用具を借りて自立した生活を送る。

その人がどんな暮らしをしたいのかを大切に、それを実現させる手助けができる。とってもやりがいがありました。

つらいこと・大変なこと

認知症の高齢者への支援はとても難しかったです。どうしたらよいかと相談が入ると、「どうしよう・・・」と何度も悩みました。本人に支援が必要なことを理解してもらうのが難しい。その家族への精神的な支援も難しい。悩んだときは、経験豊富な先輩に、相談しながら進めていました。

また時には、訪問した際、体調の変化に気づき、救急車を呼ぶこともありました。1年半の間で3回も(汗)こういう時は、看護師としての判断が必要でした。

安否確認ができない高齢者がいると相談が入ったときは、その方の自宅まで走ります。応答がなければ、警察や消防を要請して、突撃することもありました。

ほとんどは穏やかな毎日ですが、時には緊急で対応が必要な場合があります。大変でしたが、周囲に相談しながら、経験を積みました。

なりたい自分

地域包括支援センターは、本当はなくてもよいものです。むしろ、包括がなくても地域で問題を解決できることが理想なのです。

そうなるように、地域と関係機関のネットワークを構築するのが包括の役目。

私は、地域の高齢者が最大限に制度・資源を活用して自分らしく暮らせるよう手助けをしながらも、近隣で助け合いができるような地域にしていきたいです。

昔と違って「おとなりさん」との関わりが減ってきている現在。

制度や資源だけでは限界があるから、やっぱり地域内での支え合い・助け合いが必要だと思います。

少しずつでも、顔見知りになるきっかけづくりや、ちょっと困ったときに相談できる関係づくりをしていけたらいいなと思います。

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (5件)

  • 初めまして!地域包括支援センターへの転職を考えている者です。
    地域包括で働く看護師の情報があまり無くて困っていたのでブログとても助かりました!
    質問なのですが、地域包括支援センターでのオンコールって具体的にはどんな内容なのでしょうか?
    また、たぬきちさんが就職されたところは先輩の保健師はいらっしゃいましたか?

    • はじめまして!コメントありがとうございます!
      少しでもお役に立ててめちゃくちゃうれしいです(*^^*)
      質問についてですが、私が受けたことのある内容でよければ参考に。
      平日ですと、だいたい「電話もらってたみたいで、折り返しました~」「担当の〇〇さんいますか?」など。
      急ぎではない電話がほとんどなので、だいたい「明日また担当から連絡しますね~(^^)」で終わりです。
      土日ですと、上記の電話+「相談したいことが・・・」「〇〇さんの安否確認ができない・・・」など。
      普段平日にかかってくるような新規相談がかかってくることもあるので、平日同様相談を受け、「週明けに担当からまた連絡します」と伝えます。
      週明けにセンター長に報告して、担当を決めて、担当から訪問のアポを取る、という流れ。
      安否確認ができない、どうしたらよいか?などの緊急の相談が、1年に1回くらいありましたが、その時はひとりで対応しません。
      まずセンター長に連絡して情報共有し、支持を仰ぎます。
      場所によっては、家が近い人に安否確認に走ってもらうこともあるので、必ず電話当番の人が全部対応するってわけではありません。
      また包括やCMに安否確認に行ってもらうこともあります。とりあえず、センター長の支持で動くって感じでした。
      ちなみに、私のいた包括は6人職員がいたので、6人で携帯を回していました。人数が少なければ、回数は増えますね。
      まあでも、そんなしょっちゅうかかってくるものではありません。1回も電話ならなかった週もありました。

      先輩保健師はいませんでした。ただセンター長は看護師でしたので、センター長に教えてもらうことが多かったです。
      保健師の資格を持っている人は結構貴重と聞きました。
      6人中(看護師のセンター長、社会福祉士2名、主任ケアマネ1人、ケアマネ1人、保健師の私)って構成でした。

      こんな感じでどうでしょうか?
      ほかにも質問などあれば何でもどうぞ!(^^)!

      • 質問に回答していただき本当にありがとうございます!具体的に教えてくださったおかげでイメージしやすかったです🙇‍♀️
        緊急の相談は不安ですが、上司の方に報告してその上で動くならまだ負担は少ないですね。
        ほぼ他職種の環境で入職されたんですね、すごいです!包括はセンターの職員自体少ないですし、保健師持っているとはいえ看護師業務しかしたことがない自分で務まるのか、教育してもらえるのか不安で……たぬきちさんがお勤めされた包括に就職先を決めたポイントってなんですか?

        • 私も緊急の相談はとても不安でしたが、緊急の時こそ、ひとりでは対応はしないので、自分がやらないと!と気を張る必要はありませんでした。
          確かに包括は職員が少ないですが、社会福祉士さんやケアマネさんって本当にいい人たちばかりで・・・看護師時代よりもずっと丁寧で優しく教えてくださいました!
          それに、看護師の経験はいろんな場面で役に立つと思います。むしろ看護師経験がある人というのは、多職種からも重宝される存在でしたし、期待もされると思います。自分で務まるのか、という心配は、しなくてもよいと思いますよ(*^^*)

          実は、私は転職サイトに登録して、紹介してくださった包括(1つだけ)を受けただけなので、ほかの包括と比較したわけではないのです。
          私が就職する前にちゃんと色々知っていたら、比較して選んだのになあって思います。
          だからこそ、もし包括に就職を考えているなら、絶対比較してちゃんと選んだ方がいいと思います!

          • 保健師として働くことに不安があったのですが、ブログやコメントを読んで、色々求人比較していい所があれば包括受けてみようと思えました!
            たくさん質問してしまったにもかかわらず、丁寧に回答してくださりありがとうございました!Twitterもブログも更新楽しみにしています😊

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